わが国の自殺者数は平成10年以来の年間3万人から平成24年に漸く2万7千人台へ減少しました。 その間、自殺対策基本法が参議院の議員立法として超党派で成立し、少ない予算ながら国を挙げて、 その対策が講じられてきました。昨年は、自殺総合対策大綱の見直しもなされました。 さらに5年間で20%の自殺者を減少させるという数値目標を掲げて3億円の予算で平成17年からスタートした 戦略研究も3年半の複合的自殺対策プログラムの自殺企図予防効果に関する地域介入試験NOCMIT‐J 及び自殺企図の再発防止に対する複合的ケースマネージメントの効果:多施設共同による無作為化比較試験:ACTION-Jが終了し、 これらも漸く、その成果が発表され始めました。
本学会では、これらの研究成果と課題を含め、今後の自殺対策の将来をまず考えたいと思っています。 さらに日本人の「いのち」に対する考え方は、自殺行動などをみると欧米人とも異なっているようにも思えます。 「いのち」をどう考えたらよいか。社会がもっと分かち合えるようになれば、自殺企図者や自殺も減ってくるのではないかとも思われます。 遺された人たちの気持ちを汲むことも本学会としては重要と思っています。 「いのちの大切さ」を今一度考える場になればと考えています。さらに自殺と関連するさまざまな精神疾患への対応も課題です。
本学会は、医師だけでなく、自殺対策に係るさまざまな職種の人が一同に会することが特徴です。 今回は、特に、「北九州いのちの電話」との共催で行いますので、例年になく幅広い職種や関係者がそれぞれの立場で いのちの大切さを議論できるのではないかと考えています。本学会は、自殺予防週間に合わせて開催しますので、 本学会での議論は社会への影響も大きいのではないかと推察しています。
本学会での議論が更なるわが国の自殺予防に役立つ実りあるものになることを願っています。